同じものは1つもない。ぬくもりを感じるホームスパンを作る「中村工房」を訪問してきた

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みなさん、「ホームスパン」って知ってますか?

ぼくは聞いたことがありませんでした。

ホームスパンとは、HOME(家)SPUN(紡いだ)という言葉どおり、
原毛から手染め、手紡ぎ、手織りによって仕上げる贅沢で暖かな毛織物のことです。

ホームスパンって?より

主に岩手県で生産されている手織物で、羊の毛からマフラーやストールを織っているケースが多いです。

今回は、そんなホームスパンを大正8年から4代にわたって作っている中村工房さんを取材してきました!

ホームスパンは人を笑顔にする

中村工房さんを訪れると、三代目の中村博行さんと四代目の中村和正さんに出迎えていただきました。

スリッパに履き替え、ギャラリーを拝見させていただけることに。


左が三代目の中村博行さん、右が四代目の中村和正さん

ギャラリーにはいると、とても楽しそうにホームスパンや中村工房の歴史を話してくれる三代目の中村博行さん。

製品に愛を持って仕事をしているんだなぁ〜とこちらまで笑顔になります。

世界に同じものは1つもない。完全に1点モノ

中村工房さんのホームスパンの特徴は何と言っても「1点モノ」だということ。


ホームスパンに紛れてE-girlsや広瀬すずちゃんの写真集が。親近感。

手織りのホームスパンの特性上、全く同じものは作れないのです。

いろんな雑誌や本に掲載されているのですが、掲載されているホームスパンを見て「これください」と言われることが多いそうです。

しかし、同じものは1つもないので、すでに売れてしまっていたら購入ができないというのが悩みだそう。

掲載されている雑誌を見せていただいたのですが、「ジパング」というJRの会員に配布される冊子や、旅行本で有名な「ことりっぷ」など、ものすごく有名なメディアに掲載されていました。

インターネットにはあまり力を入れていないとのことでしたが、TEDにも取り上げられており、かなり注目されているのがわかります。

【参考】中村 和正 – 東北の手仕事 | TEDxTohoku 2014

一点モノであることが逆に人気を呼び、マニュアル製品が嫌、人と違うものが欲しい!という方からの電話も多いそうです。

本当にこだわるのはお客様へのまごころ

電話で注文を頂くことも多いそうですが、同じものがない以上、似たものを送るしか方法はありません。

中村工房さんでは、何種類かのホームスパンをお客様に送り、気に入ったものだけを購入していただいた後に、他のものは着払いで戻してもらうそうです。

送料の負担が必要ですが、少しでもお客様が気に入ったものを購入していただくために、そういった方法を取っているのだとか。

製品へのこだわりをたくさん話してくださいましたが、そこで必ず出てくる「お客様」という言葉。

製品を通じて中村工房さんのまごころが伝わるからこそ、四代にわたって続いてきたのでしょう。

ホームスパン以外の製品も取り扱っている

ホームスパンのマフラーやストールは主に冬に売れるものなので、夏はホームスパンではなく、薄手のストールを主に取り扱っているとのことでした。

とても色鮮やかで、実際に見ると「グッ」と引き込まれる感覚がしました。

四代目の中村和正さんにお話を聞きました

Q
中村さんにとって、ホームスパンの魅力は何ですか?

A
糸を含めて1から作れることです。

世界で1つだけのものを作っているという実感。

羊毛をミックスして作る面白さはもちろん、毎回毎回違うものができるのが面白いですね。

Q
なぜ四代目を継ごうと思ったのですか?

A
何か手に技術をつけたほうがいいと思いやってみたのがキッカケです。

大学を卒業してもやりたいことがなくて継いだというのが最初の理由だったんですが、今では誇りを持って仕事をしています。

Q
大変だったことはありますか?

A
技術を覚えるまで3年くらいかかったことです。

それまでは全く売り物にはならないくらいでした。まっすぐ織るという最低限の品質をなかなか越えられませんでしたね。

いつもと違う自転車に乗ると感覚が違うのと同じで、織り機にも相性があるんです。

道具に自分を合わせていくのに苦労しましたね。

Q
商品を世に出すまでに一番こだわっていることは何ですか?

A
お客様の声を聞くことですね。

初めは東京にでもどこにでも行ってお客様の声を聞きました。

その経験を経て、外に出ずに家で作っているだけではお客様の求めるものを決して生み出せないことを学びました。

Q
これからの目標はありますか?

A
「変化」を付けることですね。

「中村工房はいつも同じものしか置いていない」と思われたら終わりなので、違いをつけていかなければと思っています。

ものづくりの新しいアイデアはいつも考えていますね。

まとめ

代々受け継いだものを守りながら、お客様の声を製品に反映させていくからこそ、中村工房さんは今でも愛されています。

こちらが取材させていただく側にもかかわらず、お茶やお菓子を出していただいて、優しく接してくださいました。

中村工房について

〒020-0114 岩手県盛岡市高松3丁目2-15
tel.019-661-5277
fax.019-661-1820
Web:ホームスパン 中村工房0

※取材 2016年5月

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